サンプル容器の自動開閉

技術的な要件から適切なソリューションまで

ラボオートメーションではサンプル容器のハンドリングとりわけ開閉が特に難しい課題です。ここでは高いプロセス信頼性と最小限の複雑さを組み合わせることが重要です。ここでは正しいソリューションを見つけるには何が重要かを知ることができます。

基本的な要素はたとえば 3D ハンドリングシステムに接続されたロータリグリッパユニットです。サンプル容器の寸法と必要なトルクは適切なソリューションを見つけるための出発点です。さまざまに異なる容器を使う必要があるかどうかも、非常に重要な点となります。

必要なトルク

サンプル容器自体にも技術的要件があります。サンプル容器を開閉するために必要なトルクはどれくらいかを明確にすることが重要です。必要なトルクの量は後で使用する容器を使用して、可能な限り現実的な条件下で常に事前にテストする必要があります。サンプル容器を手動で充填する場合はグルコースや塩分を含む媒体によってねじが汚れる可能性があります。密封後に液体が乾燥し、固着したり、または結晶化したりします。それにより開封時にははるかに高いプロセス力が必要になります。新品の容器のみでテストを行うと技術要件を低く設定しすぎてしまうリスクがあります。

形状嵌め合いの接続によりグリッパの力を大幅に軽減できます。一方、圧力嵌めの場合ははるかに大きな力を必要とします。

Festoの標準ソリューションでは最大 5Nmのトルクと最大 200Nの把持力(配置によって異なります)を達成できます。その他の値も、ご要望に応じて可能です。

容器の大きさ

容器の高さを直径から、必要なストロークが導き出されます。

さまざまなサイズの容器を使う場合は1つのシステムでできるだけ多くの要件をカバーするためにハンドリング用の長い Z ストロークに加えて、より大きなグリッパストロークが有利です。

これによりソリューション全体の複雑さが大幅に軽減されます。

さまざまなねじピッチ

アプリケーションでさまざまなサンプル容器を扱う場合、寸法が大きく異なることが多いだけでなく、蓋のねじ接続も異なります。

開閉時に回転動作とストローク動作を同時に同期させることはソフトウェア側で解決しようとすると非常に手間がかかります。そのため、FestoのEHMD ロータグリッパモジュールに向け、Z 補正付の取り付けアダプタが開発されました。これにより開閉プロセスにおいて蓋のねじピッチが最大10mm までは自動的に補正されます。受動的スライダを使用したこの単純な機械的ソリューションは回転中に Z 軸を制御しつつ動かす必要がないことを意味します。同期をプログラミングする必要はなくなり、プロセスシーケンスは大幅に簡素化されます。

容器の固定

蓋を開閉するときは開閉力を打ち消すために容器を固定する必要があります。このタスクにはたとえばさまざまなストロークによってさまざまな容器のサイズに適合できるクランプユニットや、2つめのグリッパを用いることなどが理想的です。容器によっては受動的クランプを使用したシンプルな形状嵌め合いでも十分な場合があります。

安全なロック

蓋を閉じるときは2つのねじ山を調和させる必要があります。ここでは蓋が斜めに載せられている可能性があります。蓋が正しく閉じられていなくても向きがずれているため、回転時に所定の閉じる力に到達します。高価なセンサシステムを使用せずにこのリスクを排除するためにFestoは「検出段階」をプロセスに統合しています。蓋をした後、蓋と容器のねじ山を合わせるためにまず少し力を入れて反時計回りに 360° 回します。その後、回転角度を監視しながら蓋が閉じられます。次にモータ電流測定により定義されたウィンドウで間接的なトルクチェックが実行されます。このプロセスでエラーメッセージが表示されない場合は容器がしっかりと閉じられている可能性が非常に高くなります。

Festoデキャッピングソリューション

多数の異なるサンプル容器だけでも、自動開閉の技術的要件は多岐にわたります。Festoはコンパクトなハンドリングシステムの一部として、このための幅広いソリューションをご提供しています。完全なロータリグリッパモジュールと個々の標準コンポーネントで構成されたソリューションから、お客様固有のさらなる開発や新しい開発に至るまでです。

ロータリグリッパモジュール EHMD

EHMDはこのクラスで最もコンパクトなロータリグリッパモジュールで、たとえば HPLC アプリケーションの使用時などの小さなサンプル容器の開閉に特に適しています。15ml までの容器を開くのには0.3Nmの最大トルクで十分です。オプションの補正モジュールは回転中に蓋のねじピッチを自動的に補正します。これによりさまざまな種類の蓋とねじピッチに簡単に適応することができます。ロータリグリッパモジュールには 2種類のバージョンがあります:1つは全電動式、もうひとつは空気圧グリッパを持つものです。いずれも回転角度は無制限です。

ロータリグリッパモジュール EHMD

ハイブリッドロータリリニアモジュール DSL-16-_ -SA

DSL-16-_ -SAは高いトルクと把持力が必要な用途に理想的です。コンパクトで幅の狭いモジュールを使用すると首が丸く密閉キャップまたは蓋を持つ容器を最大1.7Nmの調整可能なトルクで確実かつ静かに開くことができます。空気圧によるストロークおよび把持の動きと正確に設定・監視できる電気回転運動の組み合わせによりサンプルのハンドリングの安全と再現性が高まります

ハイブリッドロータリリニアモジュール DSL-16-_ -SA

EHPSとERMOの組み合わせ

電動標準グリッパ EHPS電動ロータリドライブ ERMO を組み合わせることで、さまざまな要件に対応できます。EHPS では小型から中型の容器用にストローク長の異なる 3つのタイプから選択できます。ERMOには4つのサイズがあり、最大トルクは 0.15~5Nmです。ロータリアクチュエータには永久的に取り付けられたモータとドライブシステム(モータコントローラ)、統合されたウェブブラウザ技術、および適切な接続ケーブルを持つメカニクスが含まれています。

EHPSとERMOの組み合わせ

お客様固有のカスタム開発

Festoの標準化されたコンポーネントを使えば、多数の要件を最小のスペースで最高の品質を保持しつつ、コストパフォーマンスの高い方法でカバーできます。非常に具体的な独自の希望や課題がある場合、Festoは既存の製品を変更するか、あるいはまったく新しいソリューションを開発します。Festoが計画プロセスに関与する時期が早ければ早いほど、お客様にとってのメリットは大きくなります。このようにして、たとえば Festo USAはお客様のシステムに完全に統合されたサンプルハンドリング用の極めてコンパクトなソリューションを開発しました。これにはFestoの標準コンポーネントと改良されたロータリグリッパモジュールが使用されています。その結果、生産性とプロセスの信頼性が最大化され、複雑さは最小限に抑えられました。

興味深い記事

概要