ラボオートメーションにおける重要なプロセスは液体とサンプルのハンドリングです。自動化された液体ハンドリングシステムの性能を客観的に評価し最適化を行うことはラボの技術者にとっても、液体ハンドリング技術のメーカーにとっても極めて重要です。
記事の冒頭では精度および正確さの性能パラメータとそれらの意味の違いについて説明しました。第 2部ではこれら 2つの性能指標について詳しく説明します。
エラーの原因を迅速かつ効果的に特定できるようにするために液体ハンドリングシステムのメーカーや事業者は今まで以上に体系的かつ差別化された性能パラメーター評価を必要としています。
これはマイクロプレートなどにおける液体ハンドリングを以下に挙げる非常に基本的な手順に分類すること(ブレイクダウン)で実現できます:
L × M × Nの測定値を含むデータ セットの3つの可能なサブセット:
1)ひとつのディスペンスチャンネルが「イントラ・ラン」実験用のN 個のアリコートのラン1回を出力します。
2)ひとつのディスペンスチャネルは実行間の性能評価のために実行ごとにに N 個の個別液体体積をM 回分注します。
3)L 個のディスペンスチャネルがそれぞれ、チップツーチップ実験のために N 個の個別の液体体積の1回のランを分注します。
(1)イントラ・ラン, (2)インター・ラン, (3)チップ・ツー・チップ(先端から先端まで), (4)ロード・ツー・ロード(負荷から負荷まで)の4つのレベル内での投与性能の特徴付けにより精度, 正確さおよび考えられるエラーの原因の体系的で詳細なとりわけ差別化された分析が可能になります。(1)イントラ・ラン測定は主に連続ランでアリコートを投与する、液体ハンドラーの個々のディスペンスチャンネルの基本的な精度と正確さに関する情報を提供します。休憩時間やさまざまなヒントの使用によって織り込まれたエラーはこの分析からは除外されています。(2)ランとランの間の測定は一時停止時間の影響によるエラーを示し、システムの再現性または安定性を評価します。特徴付けを目的とした 2回の任意のランの間に生じる遅延時間は各アプリケーションの予想される一時停止時間に合わせて調整できます。時間範囲は数秒から数時間、または数日にわたります。(3)チップ・ツー・チップ(先端から先端まで)の測定はディスペンスチャンネルの偏差に起因するエラー源を評価します(たとえば、異なるカートリッジ、ノズルのずれ、チューブのずれ、異なるディスペンスチャンネルの圧力レベルの差など)。(4)ロード・ツー・ロード(負荷から負荷まで)の測定はカートリッジや使い捨てチップなどを使用する負荷プロセスに起因するエラー源を評価します。
投与性能の4つのレベル内の特徴付けにより精度と正確さに関する差別化した分析が可能になります。