電動オートメーションテクノロジーへの移行には課題が残ります。電気とソフトウェアに関する幅広い専門知識に加え、予算的にも比較的高いものです。これまで電動オートメーションが複雑な動作要件のためにその利点が活用されないままになっていたことも不思議ではありません。今やこの状況は変わりつつあります:FestoのSimplified Motion Seriesは簡単に設置でき、空気圧とスマートな電動オートメーションの間のギャップを埋める自動化ソリューションとなっています。製造をより効率的にするにはPlug & Workを採用するだけです。
今も昔も空気圧はシンプルな移動と位置決めタスクには最適な方法です。しかしますますデジタル化が進む世界では電動オートメーションやワークピースからコントローラやクラウドへの一貫した情報フローが不可欠です。これによってコミッショニングにかかる時間がを短縮され、コスト効率の高い製造を保証しつつ短いライフサイクルをハンドリングすることが可能となります。つまり、電動オートメーションソリューションにかかる高い投資コストは稼働中に実現する節約によってカバーされます。またコミッショニングも簡単でスピーディになりました。その実現方法は?FestoのSimplified Motion Seriesを使います。
最初の動画では単純な電動オートメーションに含まれている機能を確認できます。2つめの動画ではSimplified Motion Seriesに関するすべてが、非常に簡単に説明されています。3つめの動画ではSolution Finderを使用して1つのツールで段階的に設計する方法が示されています。
今も昔も空気圧はシンプルな移動と位置決めタスクに理想的です 電動オートメーションを使えば、ワークピースからコントローラ, クラウドへの情報の連続的な流れが実現します:こうしてコミッショニングの時間を短縮しつつコスト効率の高い方法で生産し、製品のライフサイクルを短縮できます。
これにはSimplified Motion Seriesが最適です。Simplified Motion Seriesはモータとドライブコントローラをアプリケーションに対して最適化した、いわゆる統合ドライブを搭載した様々な電動コンポーネントで構成されています。外部サーボドライブコントローラを使用せずに、システムのコミッショニングをスピーディかつ簡単に開始することができます。これらのドライブは中間位置を含む2つの機械的エンドポジション間のシンプルな移動に理想的です。しかし、最適化された動作特性やエンドポジションへ入る際の緩やかな減速、簡易化されたプレス機能やクランプ機能をあきらめる必要はありません。
"FestoのSimplified Motion Seriesでは空気圧のシンプルさと電動技術の利点を組み合わせることに成功しています。これにより、Festoのお客様はシンプルな移動やポジショニングのタスクを低価格で電気的に解決できるようになりました"。
Bernd Schäfer
Product Management Electric Actuators:Festo SE & Co. KG
Plug & Workの原理によりすべてのパラメータはアクチュエータ上で手動で設定するため、コミッショニング用のソフトウェアやPCが不要です。Simplified Motion SeriesではデジタルI/O(DIO)やIO-Linkを介してコントローラに直接接続可能です。これらはいずれも標準で統合されています。
膨大で複雑な手順説明書がなくても、シンプルかつ直観的なプロセスで全パラメータを統合ドライブにて直接設定し、システムのコミッショニングを開始できます:
IO-Linkを介して中間位置を選択し、ストローク中にこの定義された位置でモーションを中断できます。その後、ドライブはエンドポジションに移動します。これは両方の移動方向に適用されます。
2点のエンドポジション間の移動の基本プロファイル - 速度制御あり
2点のエンドポジション間の移動の基本プロファイル:中間位置による速度制御あり
簡易化されたプレス機能とクランプ機能用の拡張動作プロファイル - 速度制御と力制御あり
2つの異なるワークピースの仕分けには次を使用します;
電動シリンダ EPCS、電動ロータリ ERMS、ボールねじアクチュエータ ELGS-BS
中間位置を使用した3つの異なるワークピースの仕分けには次を使用します:
電動ロータリ ERMS
ワークピースの搬送には次を使用します:
ベルトアクチュエータ ELGS-TB、電動シリンダ EPCS、電動ロータリ ERMS
中間位置を使用した2つの異なるワークピースの搬送および仕分けには次を使用します:
ベルトアクチュエータ ELGS-TB
ワークピースを持ち上げるには次を使用します:
ボールねじアクチュエータ ELGS-BS、スライドテーブル EGSS、電動シリンダ EPCS
中間位置を使用した2つの異なるワークピースの分配には次を使用します:
ボールねじアクチュエータ ELGS-BS、スライドテーブル EGSS
シンプルな用途や動作タスクには通常、空気圧アクチュエータが使用されます。これらは設置や制御が簡単でさらに投資コストも魅力的です。
空気圧と電動のオートメーションコンポーネントのリーディングサプライヤとして、Festoは新しいSimplified Motion Seriesで空気圧のシンプルさを電動オートメーションの世界にもたらしています。
空気圧はシンプルな動きを求められるアプリケーションに適したソリューションですが、このテクノロジーはますますデジタル化の世界に直面しています。これにはコミッショニング時間の短縮、コスト効率の高い製造の確保、短くなった製品ライフサイクルの管理のためにアクチュエータのステータスに関する最新情報が必要となります。
さらに空気圧アクチュエータが投資コストの面でより魅力的なテクノロジーであるとしても、トータルコスト(総保有コスト)も考慮しなければなりません。
診断とビッグデータにはワークからコントローラ、そしてクラウドへと続く一貫した情報フローが必要です。従来の空気圧システムでは圧縮空気のデータが転送できない点が課題となります。これらの要因を考慮すると、機械メーカーが電動による動作を価値ある補完要素として、あるいは空気圧の代替となるものとして見做す傾向が高まってきても不思議ではありません。
オートメーションにおけるニーズと傾向を見ると、空気圧から電動への移行は実際には予想よりもはるかにゆっくりと進行しています。これは新たな空気圧製品やテクノロジーの開発によって新しい要件に対応しているためであると考えられます。
しかしながら機械がこなす複雑な動きのほとんどはすでに電動アクチュエータでも解決されており、シンプルな動きは空気圧機器で簡単に解決できるため、と言ったほうが明確な説明と言えるでしょう。
そして電動アクチュエータにはいくつかの欠点があります。それは電動アクチュエータが高価であるという点、そしてコミッショニングが複雑であるという点です。空気圧システムは適度な専門知識とドライバーがあれば簡単に操作できますが、電動シリンダを2点のエンドポジションの間で移動させるには電気やソフトウェアの分野におけるより広範なトレーニングと専門知識が必要となります。Festoはシンプルな電動の市場のニーズを引き受けSimplified Motion Seriesで対応しています。
Simplified Motion Seriesは単に電動システムの新シリーズということではなく、設置の簡易化を図るためにゼロから開発されたものです。
2019年9月に発売されたSimplified Motion Seriesのコアとなる点は統合モータに駆動ユニットが最初から組み付けられている点です。これはすべての機械駆動シリーズで、あらかじめ組み立てられた状態で入手が可能です。これによって様々なサイズの直線運動と回転運動が可能となっています。
このコンセプトは取付に必要なスペースだけでなく製造プロセスにおける設置時間とコストも削減していることです。
メカ的な設置コンセプトだけでは空気圧とのギャップは埋まりません。決定的な要因はその機能性です。したがって実際の代替とするにはSimplified Motion Seriesでモーションの複雑さを軽減することに焦点を当てることが重要になります。
空気圧アクチュエータの場合、メカ的に決められた2点のエンドポジション間のシンプルな動きはハードストッパやクッションによって吸収され、解放されます。この際、サイクルタイムが常に100%再現可能であるとは限りません。Simplified Motion Seriesでは固定された加減速ランプが一定の速度と組み合わされ、緩やかなクッション性と再現性のある動きを実現します。
空気圧には追加のコストなしでダイナミックなモーションからプレスモードに切り換えることができるという素晴らしい機能があります。従来の電動テクノロジーではこれをプログラミングの労力を費やすことでのみ達成可能でした。
新しいシリーズではこれがインテリジェントな方法で解決されています。ここでは速度制御された距離が単純に短くされ、この時点でダイナミックなモーションが力制御されたプレス動作に変わります - これをプログラミングに費やす労力なしでアクチュエータ上で直接設定します。
空気圧のシンプルさと電動のメリットを組み合わせるというコンセプトがソフトウェア不要のコミッショニングとシンプルな駆動の最新の制御オプション(デジタルI/OやIO-Link)を組み合わせで実現され、制御ユニットも拡張されています。統合モータにはこれら2つの接続が標準で装備されており、"Plug & Work"の原理に基づいたものとなっています。これにはソフトウェアもパラメータ設定も必要ありません。
操作が同じようにシンプルになるよう、すべての設定は3つのボタンとわかりやすいLEDメニューを使ってモータ上で直接行うことができます。両方向への速度と推力が設定でき、 さらにこれらのボタンは原点と速度、推力の制御の間の移行点を設定するのにも使用されます。最終的にすべての動きはデモモードを使ってデバイス上で直接テストできます。こうすることでソフトウェアエンジニアがラップトップを開かなくても、機械のすべてのアクチュエータを完全にコミッショニングできるようになります。
アクチュエータを最も簡単に制御する方法は5/3方向の空気圧バルブと同じ様に2つのデジタル入力を使用することです。これで非常にコスト効果の高い設置が可能になります。2つのデジタル出力を使ってシリンダスイッチと同じ様にエンドポジションに到達したかを確認することもできます。追加コストはかかりません。
このシリーズの最も興味深い点は標準で統合されているIO-Link機能です。これはシンプルな電動アクチュエータをIndustry 4.0やデジタル化の世界に接続するものです。IO-Linkを使えばすべてのパラメータをリモートで転送したり、複数のアクチュエータへコピーしたり、アクチュエータが機能停止した場合のバックアップとして使用したりといったことが可能になります。また、移動距離や作業サイクル数などの他のパラメータも簡単に読み取ることができるようになります。これらのデータは予兆保全に使用したり、クラウドへ送信したりすることができます。最後に、IO-Linkを使用するとストローク途中の事前に決められた中間位置で停止させることができるため、空気圧で一般に行われているようなメカストッパが不要です。こうしてSimplified Motion Seriesはさらにフレキシブルになるのです。
デジタルI/OもIO-Linkもシリーズの全アクチュエータに統合されているため、IO-LinkによるコミッショニングやデジタルI/Oによる制御といった両方のオプションのメリットを活用できます。
ソフトウェアを使わないコミッショニングやデジタルI/O, IO-Linkを介したシンプルな制御が提示するすべての特性は、コンパクトな統合駆動ユニットにまとめられています。このためSimplified Motion Seriesは空気圧のシンプルさが電動オートメーションのメリットと始めて理想的に組み合わされることになります。こうして機械メーカーは非常にシンプルなタスクにも電動アクチュエータを使用できるようになり、ひいては機械を新しいレベルのパフォーマンスに引き上げることに成功しています。