分子診断検査で命を救う

自動化技術により多くの上気道病原体検査で高いスループットを実現

Fast MDxは高価なバイオ セーフティ ラボなしに、前例のない速度でどれだけ多くの病原体を検出できるかを示しています。ロンドンに本拠を置く同社はポイントオブケア検査システムを開発し、通常の待ち時間であった24~48時間からわずか1~2時間に短縮しました。また、Festoの自動化技術も搭載されています。

新型コロナウイルス, インフルエンザA型, インフルエンザB型, RSV-A, RSV-B:最も一般的な呼吸器病原体を1~2時間で確実に特定できることは感染者が迅速に個別治療を受けられるようにするために重要です。テストプラットフォームは通常、病院やクリニック、診療所のポイントオブケアとして設置されます。

「完全に自動化されたポイントオブケアのハイスループット検査プラットフォームは移動式であるためどこでも使用可能です。8時間のシフトで最大1000人の患者サンプルを処理するためには中央検査ラボでは通常5人必要なところ、Fast MDxの操作に必要なのは1人のみです」とFast MDx創設者兼CEOであるRichard Lewis氏は述べています。

必要なものはすべて搭載済み

Fast MDxプラットフォームはピペッティングとディスペンシングにFestoの自動化技術を採用しています。自動化された検査システムは技師の時間を節約し、何百ものサンプルを標準化されたチューブやマイクロタイタープレートへの手動でのピペッティングよって起こる人的ミスを低減します。「Fast MDxはサンプルチューブやスワブからサンプルが最初に収集された病院, クリニックまたは診療所に結果をデジタルで送信するまでテストに必要なものをすべてを含む完全に統合されたシステムです」とRichard Lewis氏は説明します。

Fast MDxプラットフォームでの検査は完全に自動化されています。このシステムには正確なピペット ハンドリングとPCRマイクロタイタープレートのロボットによるハンドリングのためのFestoの電気軸を備えたハンドリングガントリ、Kbiosystemsのヒートシーラー、および特許取得済みのFast MDx製超高速qPCRサーマルサイクラーであるNGX2が含まれています。プラットフォームで使用されるBioseroソフトウェアはすべてのモジュールを統合および制御し、非常に使いやすい設計となっています。英国の特殊機械メーカーであるApplied Automation社は検査システム全体のセットアップと安全性、リスク解析、およびCEマーキングのすべての面を担当します。

Fast MDx検査プラットフォームの操作

オペレーターはラックにピペットチップ, マイクロタイタープレート, すべての試薬と患者サンプルを含むアッセイキットをロードします。これらは各顧客サンプルの底にレーザエッチングされた個別のバーコードによってプロセス全体で追跡されます。

サンプルの準備中にはFestoのフラットガントリ EXCMはX平面とY平面での作業を担当します。92人分の患者サンプルはすべてのサンプルが存在することを確認するために、Festoの光学センサによって下からスキャンされます。Festoのピペッティング ヘッド DHOEとディスポーザブル シリンジ エジェクタ DHAOで構成される自動ピペッティング システムはZ方向のフラットガントリに取り付けられています。ピペッティング ヘッドは10 μlの範囲を正確に計量でき、ピペッティング速度は最大10 ml/sまで計量できるように調整できます。

マスターミックスが準備されマイクロタイタープレートに注入され、サンプルが追加されます。各患者サンプルはキャップを突き刺す使い捨てピペットチップを使用して吸引され、マイクロタイタープレートのウェル内にあるマスターミックスにピペッティングされます。相互汚染を避けるために、各チップは1つの患者サンプルにのみ使用され、その後廃棄されます。「蓋に穴を開ける方法は時間とコストを大幅に節約します。これは従来の開閉システムが不要となり、何百ものサンプルを手作業でピペットでチューブに移すときによく発生する人的な操作ミスが回避されるからです」とFestoのハンドリング専門家であるRößer, Hannesは説明します。

稼働中の電動グリッパとアクチュエータ

フラットガントリ EXCM-30をベースとする別のハンドリング システムは充填されたマイクロタイタープレートを電動グリッパ EHPS-16でピックアップし、プラスチック フィルムでシールするためにヒートシーラーに配置します。次に密封されたプレートをRTブロックに入れ、これによりRNAが存在する場合は相補的DNA(cDNA)に変換されます。最後のステップでは目的の病原体のcDNA配列が検査された患者サンプルの1つに存在するかどうかを特定するためにPCR反応が行われます。

電源供給に依存しない真空エジェクタ

外部空気圧供給回路から独立させるために, Fast MDx検査プラットフォームは+/-0.5 barの圧力または真空を生成するFestoの真空エジェクタ PGVAを使用しています。圧力および真空ソリューションを備えた空気圧供給器には24 V電源のみが必要です。PGVAはミニコンプレッサ, エアフィルタユニット, リザーバ, 圧力・真空コントローラを最小限のスペースに統合しており、ラボオートメーションにおいて液体ハンドリングを担う自己完結型ソリューションとなっています。

「Fast MDxとFestoの緊密な協力によって極めて高度な複雑さにもかかわらず、最初のプロトタイプを迅速かつ効率的に作製することができました」とRichard Lewis氏(Fast MDx社CEO)は述べています。「qPCRサーマルサイクリングの分野におけるFast MDxの包括的なノウハウと実績のあるFestoの3次元ガントリ、コントローラ、およびピペッティング システムの組み合わせです。」