車はもはやA地点からB地点への単なる移動手段ではありません。様々なコンフォート機能と安全機能を備えているため移動を助けてくれるインテリジェントな存在になっています。現在、各車両には平均して最大100個のセンサが搭載されており、将来的にはその数が増える見込みです。同じスペースの中でセンサの数が増えると、ますますコンパクトで場合によっては非常に堅牢なセンサが必要になります。その結果、より要求が厳しくなっている製造工程では革新的な製造ソリューションが求められています。ベルギーのIPTE Factory Automation n.v.社は最新のシステムにより新しい課題にうまく対応しました。ファクトリーオートメーションのエキスパートである同社はFestoと協力し、センサを直接ハウジング内で選定的にはんだ付けするための先駆的な機械コンセプトを開発しました。
ハウジング内で確実にはんだ付け
車室外に設置される車載センサは過酷な環境下で使用されるため-40℃以下から100℃以上までの広い温度範囲に耐えなければならないことが多く、また耐腐食性や耐衝撃性も求められます。保護のためこれらのセンサは強固なハウジングに収められています。しかしセンサの内部部品を完全に組み立てた状態でハウジングに挿入することはできません。個々のはんだ付け作業はハウジング内で直接行う必要があります。ウェーブはんだ付けやリフローはんだ付けなどの従来のはんだ付け方法では樹脂製のハウジングがその熱負荷に耐えられないためここでは使用できません。ここでの唯一の選定肢はより要求の厳しい選定的はんだ付けです。ここで重要なのは正しい角度と正しい力で正確にはんだ付けしなければならないということです。このためには高いプロセス品質、再現性、製造速度が求められ、それにはプロセスの完全なオートメーションが欠かせません。
IPTE社は車載センサの保護ハウジング内でバッテリと回路基板を直接接続するための、新しいプログラマブルな選定式はんだ付けシステムを開発しました。Festoとの協力によりこの目的のために完全な機械コンセプトが作られました。すぐに設置可能なFestoのハンドリングシステムは60kg以上の移動負荷にもかかわらず、高速で正確なX、Y、Z、Wの動きにより3秒以下のサイクルタイムを実現しました。ハンダ用スズは0.1mmの精度で供給され、コイルからほどく速度が制御されます。さらにコンパクトなIPTE社のシステムにはこて先の自動校正、こて先の統合型クリーニング機能、はんだリールを使った操作, 色認識機能、鉛フリーはんだへの切換機能などの利点があります。信頼性の高いサスペンションシステムによりはんだ付けプロセス中に最適な熱接触が得られるように、はんだ付けチップが適切な力で回路基板に確実に押し付けられます。内蔵のクラッシュセンサがPCBを過度の圧力から保護します。
IPTE社はデザイン・製造プロセスにおいてFestoのサポートを受け、4自由度のXYZWガントリシステムを開発しました。X、Y、Z軸には標準的なスピンドルドライブとEGC型歯付ベルトドライブ、測定システムおよびミニスライドEGSLを内蔵したEGCを使っています。Festoは回転ユニット(W軸)用にカスタマイズされたモジュールを開発しました。移動の速度と加速度(XYZ軸)をフレキシブルに制御するためのガントリと、昇降・回転モジュールERMBはシステムに合わせて特別に調整されており、はんだ付け針の昇降と回転に使用されます。これによりセンサハウジング内のアクセスしにくい場所でもシステムは正しい角度と正しい力で正確にハンダ付けすることが可能になりました。移動負荷が大きいにもかかわらず、非常に高速な位置決めが可能です。
IPTE社の新しい機械コンセプトは普遍的に使用できます。はんだ付けだけでなく、ディスペンサーなどの幅広い用途が実現できます。このガントリはサーボモータとEtherCATインタフェースを持つCMMP型コントローラを含み、Festoが様々なアプリケーションの特定の要件に適合させ、すぐに設置可能な完全なシステムとして提供します。Festoは納品時にシステムの機能を保証することでさらなる安全性を提供しています。顧客はすぐに設置可能なハンドリングシステムを受け取るだけでなく、最初からそのシステムが完璧に動作することが保証されているのです。
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活動分野:回路基板モジュールおよび最終製品の製造, テスト, 後続処理のためのターンキーモーションコントローラの開発