BionicBee

群れによる自律飛行

Bionic Learning Networkの一環として、私たちは15年以上も前から空を飛ぶことの魅力に取り組んでいます。以来、多くの飛行物体とその自然原理を研究しそれらを技術的に実装することで生物学的モデルから学んでまいりました。その中で大きな課題となったのが、自律的な群れの行動に関する研究でした。FestoのチームはBionicBeeをもって初めて群れをなして完全かつ大量に自律飛行できる飛行物体を開発したのです。

繊細なデザインの超軽量飛行物体

約34g, 長さ22cm, 羽根幅24cmのBionicBeeはBionic Learning Networkの中でこれまで最小の飛行物体です。開発者たちは初めて、ジェネレーティブ デザイン法を採用しました。ここではいくつかのパラメータを入力すると、定義された設計原則をもとに可能な限り最も安定性の高い構造で必要最小限の材料を使用する最適な構造が、ソフトウェアによって割り出されます。この一貫した軽量構造は優れた操縦性と飛行時間に不可欠です。

小さなスペースでの機能統合

ミツバチの体には羽ばたき羽根メカニズムのコンパクトな構造, 通信技術そして羽根の羽ばたきを制御し、羽根形状を適合させるコンポーネントが組み込まれています。このため、ブラシレスモータ, 3つのサーボモータ, バッテリ, 減速機ならびにさまざまな回路基板が非常に小さなスペースに配置されています。モータとメカニズムのインテリジェントな相互作用により、例えば羽根の羽ばたき周波数が様々な操舵に合わせて正確に調整できるようになっています。

4つの自由度レベルによる自然な飛行操作

人工ハチは15~20ヘルツの周波数で飛行します。この際、羽根は180度の角度で前後に羽ばたきます。正確にガイドされた超軽量機械構造を備えたブラシレスモータはバックラッシュなく羽根の羽ばたきを駆動します。回転数が高いほど、羽ばたきの周波数と浮力が高くなります。羽根の根元にある3つのサーボモータは羽根の形状を適格に変化させることで特定の羽根位置での有効性を高め、発生する揚力を適格に変化させます。

ハチが前方へ飛ぶときには羽根の後方位置の揚力が前方位置よりも大きくなるように羽根の形状が調整されます。その結果、体が前方に傾き(ピッチ)ミツバチは前進飛行に入ります。右羽根が左羽根よりも多くの揚力を生成するように形状が調整されると、ミツバチは縦軸を中心として左へ傾き(ロール)、横方向へ飛びます。また、片方の羽根が前方でより強い揚力を生成し、もう片方の羽根が後方でより強い揚力を生成するように調整することもできます。これによってハチは垂直軸を中心に回転(ギア)します。

群れによる自律飛行

10匹のミツバチの自律的な行動は超広帯域技術(UWB)を使用した屋内位置特定システムによって実現されます。これを目的として、空間内の2つのレベルに8つのUWBアーマチュアが設置されています。これによって、正確なランタイム測定が可能になり、ミツバチは空間内で自身を特定できるようになります。UWBアーマチュアは個々のミツバチに信号を送信します。これによってミツバチはそれぞれの送信エレメントまでの距離を個別に測定し、タイムスタンプを使用して空間内の自身の位置を計算できます。

群れで飛ぶために、ミツバチは中央コンピューターによって設定された経路をたどります。密集編隊で安全かつ衝突のない飛行をするには高レベルの空間的および時間的精度が必要です。経路を計画するときは乱気流(「ダウンウォッシュ」)によって引き起こされる可能性のある相互作用も考慮する必要があります。

各ミツバチは手作業で作られており、製造上のわずかな違いが飛行動作に影響を与える可能性があるため、ミツバチには自動校正機能も備わっています。短いテスト飛行の後、各ミツバチは個別に最適化されたコントローラー パラメーターを決定します。このようにして、インテリジェントなアルゴリズムが個々のミツバチ間のハードウェアの違いを計算し、あたかもすべてのミツバチが同一であるかのように群れ全体を外部から制御できます。

BionicBeeではFestoの開発者たちが以前のプロジェクトで得た多くの発見が役立っています。ここで得られた知識はBionic Learning Networkの中で作成された一連のバイオニック飛行物体に活用されています。Festoでは15年以上にわたり、基本的な技術原理を自然界から学ぶ研究プラットフォームを開発しています。その内容の一部を次にご紹介いたします。