モジュール式大規模システムの組立ラインでは、バルブが完全自動で生産されます。

10の40乗通りのバリエーション

Scharnhausenのテクノロジーファクトリー:柔軟性の高い組み立てライン

バッチサイズがひとつであろうと、年間生産量が250万であろうと、ScharnhausenにFestoが新しく創設したテクノロジーファクトリーは、柔軟性とスピードの密接な関りを示しています。ここでは既に、Industry 4.0は可能な限り実践されています。手作業による生産とモジュール式組立ラインの連携で、最大で10の40乗の製品バリエーションが実現します。

Festoのテクノロジーファクトリーは、最先端のオートメーションを象徴する工場です。66,000平方メートルの敷地、1,200人の従業員、洗練された高効率なバリューチェーン、学習ファクトリーと創造的な思考タンクを備えたオープンなコミュニケーション環境です。相互にネットワーク化されたシステムが、初のIndustry 4.0テクノロジーソリューションを可能にします。従業員は毎日、フレキシブルなロボットを直接かつ安全に操作しています。情報や素材は、シームレスなバリューストリームに迅速、柔軟、確実に流れ込みます。


最短ルート
無駄を削ぎ落したリーンなテクノロジーファクトリーでは、個々の製造プロセスが可能な限り最短のルートで相互にリンクされています。また、可能な限り倉庫在庫の中間バッファを必要としないように配置されています。例えば、以前は32kmの距離で複数の場所に分散されていた工程が、現在テクノロジー・プラント内のわずか120mのスペースで行われているのです。高品質な製品、バルブやバルブターミナル、電子部品、カスタマーソリューション品が、ひとつの工場で短時間に生産されているのです。

テクノロジーファクトリーの概要

シャルンハウゼンのテクノロジーファクトリー エリア

テクノロジーファクトリーは、(1)機械加工、(2)組立、(3)電子機器生産、(4)カスタマーソリューションという4つの領域で構成されています。

完璧な形で

重量何トンもの切削機械は、14,000平方メートルに及ぶテクノロジーファクトリー1階に配置されています。旋削、フライス加工、掘削、研削、機械加工のプロセスでは、金属製の精密部品が製造され、さらに組立工程に回されます。24 時間稼動するこのシステムは、バルブハウジングやリニアドライブユニット用ハンドリングテクノロジー用の個々のコンポーネントなど、Festo製品の基本コンポーネントを製造しています。バルブ用シーリングカートリッジの製造量は年間で数百万個、バブルハウジングに至っては1日あたり数万個が製造されています。同じ建物内の電気めっき浴(ガルバニックバス)では、コンポーネントの表面仕上げが行われています。

完全自動および手作業

テクノロジーファクトリーでの生産幅は、カスタマーソリューションのためのサービスセンターでの手動生産から、VUVGシリーズのバルブ製造用の2つのモジュラーアセンブリシステムなど、柔軟性が高くエネルギー効率の高い組立ラインにまで及びます。8つの生産工程が30mの範囲内で稼働しています。年間数百万個のバルブを、15 秒未満のサイクルタイムで組み立てることができます。多くの自社コンポーネントとソリューションを使用しています。Festoの製品が、Festo製品の製造に使用されています。各ラインでは50種類以上の異なるサイズのバリエーションが生産されており、そのうち20種類のバリエーションが全体の80%以上を占めています。

バルブをバルブターミナルに組み付ける際には、個々の顧客のニーズに合わせた特別なソリューションや個々のコンポーネントの場合と同様、以前と同じく手作業が求められます。数量は年間数千から、数百の小さなシリーズ、さらには 1 つだけと様々です。一部、非常に短時間でお客様の仕様に合わせて作らなければならない製品では、10の40乗通りのバリエーションがある場合もあります。

含まれているエレクトロニクス

多くの製品は、エレクトロニクスなしでは考えられません。テクノロジーファクトリーでは、200 人の従業員が 6,000 平方メートルの敷地にて、複雑な電子モジュールや製品を生産しています。これらのうち年間 250 万個は、自社での使用のために生産されています。さらなる加工領域には、ハウジング内の完全なモジュールか、または装備の整った回路基板が引き渡されます。ここでもバリエーションは数百種類にも及びます。

自動化におけるイノベーション

効率的で競争力のある生産に加えて、新工場はロールモデルとして機能し、Festo のお客様に最新の自動化技術をご紹介する場となっています。ここでもテクノロジーファクトリーは、無駄のないエネルギー効率の高いプロセスと、とりわけサステナブルで環境に配慮した生産を特徴としています。これは、2015 年 9 月に同工場が受け取ったドイツサステナビリティ建築協会(DGNB)からのプラチナ証明書によっても証明されています。生産現場の優れた可変性と効率的なバリューチェーンおよびバリューストリームの設計は、工場のコンセプト全体にとって重要な要素でした。工場長を務めるシュテファン・シュヴェルトレは、将来について前向きに取り組んでいます。"テクノロジーファクトリーにより、将来生ずる要件にも十分に対応が可能です。私たちは協調的なテクノロジーと製品開発のスペースの前提条件を整え、最適化したシーケンスや新たに調整されたコアプロセスにより、製品が市販に至るまでの時間を大幅に改善しました"。

従業員は、組み立てロボットと直観的かつ安全に協力して作業にあたります。

人と機械の相互作用

たとえば人間と機械の間の相互作用といったインダストリー4.0 の多くの側面は、テクノロジーファクトリーではすでに現実のものとなっています。組み立てロボットがハウジングを把持し、カートリッジとフレームを結合し、さらなる処理のためにコンポーネントを作業者に引き渡します。この協力体制は、人間にとって安全なものです。センサは、ロボットのすべての動作を常時監視します。ロボットは高感度センサを備えた、独自に開発されたプラスチックスキンで覆われています。従業員がロボットに近づきすぎると、ロボットは直ちに動作速度を落とすか、または完全に停止します。効果的な安全メカニズムのおかげで、ロボットは格子の向こうに隔離される必要はありません。

  1. この記事は、Festoカスタマーマガジン"trends in automation"2016年1月号に掲載されました
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