超音波センサは高周波範囲の音波を対象物の方向に送り、そこから音波が再びエコーバックされます。センサはこれらの信号を受信し、エコーが戻ってくるまでの時間で距離を算出することができます。この測定原理を利用して距離を測定し、自分の位置を決定できます。
水中ロボットBionicFinWaveはこのテクノロジーを用いて、ヒレを波状に動かし透明なパイプの中をぶつかることなく泳ぎます。頭部に搭載された5つの超音波センサと慣性センサにより、壁までの距離や水中での現在の向きを恒久的に計測します。プロセッサはこのデータを評価し、そこからパイプにカーブが現れる位置を推測します。プロセッサがBionicFinWaveが中央を泳ぎ、壁にぶつからないようにヒレを調整します。
BionicFinWaveは2枚の横ヒレを使って移動します。これにより連続した波、つまりうねるようなヒレの動きを作り出しています。野生の扁形虫やイカ、ナイルパーチもこのようにして水中を移動しています。ヒレの波状の動きで魚は水を後方に押し、前方への推進力を作り出します。
BionicFinWavesのヒレは完全にシリコン製で、支柱やその他のサポート要素を必要としていません。このためそれらは非常に柔らかく、自然界のモデルとなる生物のように流体波の動きに実装可能です。それぞれ45度の偏向角で左右の9本の小さなレバーアームに取り付けられています。次にレバーアームは、水中ロボットの本体に配置された2つのサーボモータによって駆動されています。隣接する2本のクランクシャフトがレバーに動力を伝え、2枚のヒレを別々に動かすことができます。これにより様々な波形パターンを作り出すことができます。
例えば、カーブを描いて泳ぐときには外側のヒレが内側のヒレよりも速く動きます。これはショベルカーのキャタピラのようなイメージです。BionicFinWaveの頭部に搭載された3つ目のサーボモータは体の曲がりを制御することで、上下に泳がせることができます。クランクシャフトと可動ジョイントが3Dプリンタで一体的に製造されているため、フレキシブルに曲げることができるのです。