モールド相互接続デバイス(MID:Molded Interconnect Device)技術とは、射出成形品の表面に目視可能な3次元の導電パスを組み付ける技術のことです。これにより機械的および電子的機能を独自の方法で一つの成形品に統合することが可能になりました。
これにより製品はスペース的に自由に設計できるようになり、大幅な小型化・軽量化が可能になります。これはさらなる小型化に向けた重要なステップです。同時にMIDコンポーネントはケーブルを一切必要としない場合が多いため、組み立てが非常に簡単です。従来の主に2次元のプリント回路基板とは対照的に、MIDテクノロジでは3次元の成形部品を回路キャリアとして使用します(ハウジングなど)。MIDの製造には様々な製造プロセスがあります。頻繁に使用されるLaser Direct Structuring(LDS:Laser Direct Structuring)では射出成形プラスチックに特殊な添加剤を加えます。この材料から必要な部品をまずモールドします。
次に導電パスを設ける領域をレーザービームで照射します。この工程では追加された添加剤が活性化され、その後の金属化工程で銅浴に浸漬されることで導電トラックが鋭い輪郭を形成します。ニッケルと金, 銀またははんだ用スズなどの様々な層を重ねて塗布することができます。このようにして作成された導電性領域に電気回路をはんだ付けすることができます。
写真提供:LPKF/LDS
Festoにとって3D MIDテクノロジーはオートメーションテクノロジーの未来と未来の製造システムでの使用に大きな可能性を秘めています。FestoはBionicANTsによってこの技術をベースにした小型ロボットを初めて実現しました。Bionicテクノロジープラットフォームは自然界のモデルであるアリからインスピレーションを得ています。これは自律的な意思決定と協調的な行動がいかに効率的な共同作業を可能にするかを示しています。
3D MID技術により全長13.5cmのアリの上に全てのメカ的・電気的機能を可能な限り小さなスペースに集約、これらを相互に正確に連携させることができ、機能統合が完璧な形で実現しました。
日常生活において小型のMID技術はすでに多くのアプリケーションでその実力を発揮しています。MIDは自動車にも搭載されています。ESPブレーキ制御システムでは小型のMID圧力センサが油圧ブレーキ圧力を電気信号に変換します。MIDは携帯電話でも使用されています。携帯電話内部のプラスチックハウジング上の3次元回路キャリアが一体型アンテナとして機能しています。このテクノロジーは医療技術, 空調技術, セーフティ技術などにも応用されています。