メンテナンスフリーでエネルギー効率が高く、安全で小さいながらも非常に強力。これらは空気圧が選ばれる説得力のある理由です。Landeswasserversorgung Baden-Württembergが新しい地下水ろ過システムの建設にこの技術を採用したのはそれなりの理由があったからです。今やLangenauの給水施設での多層式の活性炭によるろ過槽ではFestoの空気圧オートメーション技術が活躍しています。
「私たちの目標はドイツで最も価値のある広域水道会社になることです。信頼性の高い供給と資源の持続可能な利用を確保しつつ、最高品質の飲み水を提供します。」これがこのBaden-Württemberg州の水道会社(Landeswasserversorgung Baden-Württemberg)が持つ理念です。
1912年に設立されたこの地方自治体による連合組織はBaden-Württemberg州とBayern州の約250の市町村に、毎年9,000万立方メートルの飲み水を供給しています。約300万人の住人が長さ775 kmのパイプラインネットワーク経由でLangenauとDischingenの2つの給水施設から給水されています。
効率的かつ持続的に提供されるドナウ川の水
Langenauの給水施設はヨーロッパでも有数の規模と最新技術を誇る給水施設です。この施設は1973年にDonauriedの端にある"Sptzigen Berg"で操業を開始しました。2014年に拡張され、Festoの空気圧オートメーション技術を用いた新しい地下水ろ過システムを導入しました。
Leipheimから取水されたドナウ川の水はここで多段階式のプロセスで処理されて飲み水になります。3つの予備的な浄化ステップに続いて多層式のろ過によって残っている浮遊物質が除去されます。続いて行われる活性炭によるろ過ではわずかな濃度の有機汚染物質も除去されます。Festoのオートメーション技術はエネルギー効率の高い空気圧のバルブを使って水の流れを制御し、例えばシャットオフや逆流防止などに使用します。
この水道会社がLangenauの施設の近代化で何に取り組んでいたのかを知るために、この記事をお読みください。あるいはFestoの空気圧ソリューションに直接アクセスすることもできます。
100年以上の間、Donauriedの地下水は何も処理することなく飲み水として使用できました。その後工業化学物質や生活化学物質、農薬や医薬品の残留物による汚染が進み、地下水のろ過システムを設計する必要が出てきました。今回の拡張の特徴は既存の建物に2階建てのろ過槽が合計7基建設されたことです。不要になった凝集沈殿用の建物はこのために事前に解体されていました。これだけでも駆動技術への要求は高いものでした。可能な限りの省スペース化が求められました。
地下水のろ過には純粋な重力を利用しています。水は上から下に向かって多層式の砂フィルタを通り、さらに活性炭フィルタを通ります。砂は大きな汚染物質を抑え、活性炭は小さな汚染物質も除去します。
これに比べるとフィルタの清掃は簡単ではありませんが欠かせません。滞留した粒子や浮遊物がフィルタを塞ぎ、水の流れを妨げてしまうのです。フィルタ抵抗が3.5 mWSのしきい値に達すると、影響を受けたフィルタを洗い流す必要があります。そのためには配管内の10個のバタフライバルブを協調して開閉する必要があります。
この目的のために、この水道会社は非常に限られたスペースで水流制御を処理するオートメーションソリューションを探しました。信頼性と安全性が高く、制御, 遮断、逆流防止のためのアクチュエータとそれに対応するバルブの全てが含まれていなければなりませんでした。
それまでこの水道会社ではほとんどがスピンドル調整式のバタフライバルブを使っていました。このスピンドルは手動または電気モータによって操作されていました。しかしLangenauの給水施設にはこれらを置くスペースはありませんでした。複雑な配管に加えて70台の自動化されたバルブをスペースに設置しなければなりませんでした。
そのソリューションとして登場したのがFestoの空気圧アクチュエータです。ターンアクチュエータDAPSは中央の圧縮空気ステーションから供給され、バルブターミナルを使って制御されます。そのためバルブの駆動スピンドルやヘリカルギアユニットが不要になります。このソリューションではアクチュエータはバルブディスクのシャフトに直接取り付けられます。
議論の対象となったのはFestoが提案した電動式と空気圧のソリューションです。明らかに空気圧に軍配が上がりました。このオートメーションソリューションは全ての要件を満たしているどころか、それ以上のものを提供してくれます。
パイプラインバルブは地下水フィルタシステムの重要な部分です。Langenauでは二重偏心バタフライバルブがシャットオフバルブとしてもコントロールバルブとしても使用されています。これらのフラップは中間位置を交互に繰返し、開き角度を変えながら連続的に作動します。この目的のためにFestoのソリューションではDAPSタイプの空気圧ターンアクチュエータが使用されます。回転角度は自由に調整でき、アクチュエータはコンパクトでバタフライバルブに適合したレバー回転運動によるトルク特性を持っています。これはDAPSがバルブの高い離脱トルクにも無傷で耐えられることを意味します。
アクチュエータの制御にはProfinet接続のバルブターミナルとリモートI/Oの組み合わせであるCPX-VZSAを使用します。建設は中央通路のろ過槽の間で行われました。堅牢なメタルハウジングで厳しい環境下でも保護されています。バルブ自体は完全に密閉されており、排気とパイロットエアが取り込まれています。CPX-VTSAは圧力, 充填レベル, 温度などフィルタからの全ての信号とアクチュエータからのフィードバックを記録します。バルブターミナルは高度なモジュール設計になっており、5種類のバルブサイズを受け入れることができるため各バルブポジションの希望する流量を正確に調整し、エネルギーを節約することができます。
さらにDFPIタイプの空気圧リニアアクチュエータは側面に取り付けられたスラッジウォータフラップを制御し、滞留したスラッジがフィルタからスラッジウォータ沈殿槽の方向に流れていきます。DFPIの優れた特徴として統合された変位エンコーダが環境の影響から保護されているということがあり、これにより運転性能が向上し、メンテナンスコストが削減されます。
Ready-to-Installのように納品された制御盤と、空気圧制御回路用の全てのアクセサリ(空気圧調質機器, チューブ, バルブなど)によりLangenauの空気圧オートメーションソリューションが完成しました。
結論として価格的にも技術的にも電動駆動ソリューションより明らかに優れていたためFestoの空気圧駆動技術はこの水道会社から支持されました。空気圧を採用したことでこの水道会社は投資コストと運用コストを10%削減しています。電動アクチュエータはそのサイズだけをみてもパイプ用地下室の狭い環境では全く考えられない選定肢だったと言えます。
コスト面、安全面、そして操作のしやすさなど、空気圧は多くの用途で明らかなメリットをもたらします。これは設置が容易なシンプルな技術です。エンドポジションの検知と圧縮空気供給の監視以外にはチェック機能は必要ありません。給水業者は特にプロセスオートメーションの面でここから恩恵を受けています。特に、完全なシステムソリューションを導入する際には電気的なソリューションと比較して空気圧のアクチュエータやコンポーネントのコストメリットが違いを生み出します。
電動アクチュエータ技術と比較してバルブターミナルを用いた分散型オートメーションコンセプトを一貫して使用することでコスト面で大きなメリットが得られます。Langenauの給水施設の場合、10%の明確な節約になりました。他のプロジェクトでは50%以上の節約が可能になりました。このため手動バルブを後から自動化することにも十分価値があります。
電動アクチュエータは多くのエネルギーを必要としますがそのエネルギーは熱として放出されたり、減速機のために必要とされたりします。これに対し、空気圧アクチュエータはシャットオフデバイスに直接作用します。直線的な圧縮空気の力を回転運動に変換するにはピストンとアクチュエータシャフトがあれば十分です。空気圧ソリューションは圧縮空気の生成と制御の目的でのみ電気を必要とします。実際の動きは圧縮空気経由で行われます。
空気圧アクチュエータは長年にわたり振動に強く、耐久性に優れていることが証明されています。その理由は電動アクチュエータに比べて空気圧アクチュエータは少ない部品で構成されているため故障しにくいというところにあります。また連続した負荷にも強く、耐用年数の全期間にわたってメンテナンスフリーを実現しています。オイル交換や追加の潤滑は必要ありません。
空気圧アクチュエータには過負荷保護機能があり、圧力を上げるだけで高い駆動力を簡単に得ることができるため多くの場合、小型化と軽量化が可能になります。Festoの空気圧システムは最大50,000 Nの力と最大10,000Nmのトルクを発揮することができます。このようなソリューションはチューブのリークがなく、システムのサイズが正確であれば、エネルギー効率の高いソリューションとなります。
そして最後になりますが空気圧は安全なソリューションです。なぜなら、停電の際にも圧縮空気は利用できるからです。コンプレッサに加えて緊急時に生成および処理するためのエアタンクが常に1台用意されています。
Baden-Württemberg州の水道会社が水技術をFestoによって近代化したことを誇りに思っています。この例は空気圧オートメーションの利点がいかに説得力があるかを証明しています。
入札の段階でFestoは何度も現場に足を運び、技術的にもコスト的にも空気圧のコンセプトで電気式のソリューションよりも優位に立つことができました。その結果、この水道会社はそれまで導入されていた電動アクチュエータから完全な空気圧システムへの置換えを行いました。
Festoにとってプラスポイントとなったのは徹底したコンサルティングでした。Festoのエキスパートが圧縮空気の消費量の計算や圧縮空気ネットワークの最適な設計をサポートしたのです。Festoではご要望に応じて入札段階でのサポートも行います。
結局のところ、Festoのオートメーションは空気圧そのもののようにシンプルで故障のないものなのです。システムメーカーはFestoの製品を1つの部品番号でいつもシングルソースで受け取ることになります。これにより注文処理が簡単になり、プロジェクトの実現が著しく早まります。
空気圧を用いたオーダーメイドのオートメーションはコストを削減し、信頼性が高く、堅牢で防爆および過負荷に対応しています。そしてFestoの場合、導入は簡単です。こちらからチラシをダウンロードできます。