液体ハンドリングシステムの取り付け時には外部空気供給の必要性によってスペースが制限されます。液体を複数回投与する場合は繰返し精度に対する要求が極めて高くなります。本記事ではこの2つの課題に対して Festoが見つけた解決策をご紹介します。
液体用の圧縮空気デバイスを設計する場合は外部の圧縮空気源を必ず考慮に入れる必要があります。通常、液体ハンドリングシステムでは一定の空気供給が必要です。最も一般的な供給方法は壁接続によるものですがこれではシステムの柔軟性が制限されます。空気配管を後付けする必要がある場合、これはコストの増加につながります。
このため Festoは供給ラインを介した圧縮空気の供給を不要にする、圧力/真空生成のモジュールを開発しました。このコンパクトなサブモジュールは液体ハンドリングシステムの不可欠な要素です。ジェネレータは特定の圧力および真空状態まで充填を行います。値が定義されたしきい値を下回ると供給が有効になり、最充填が始まります。これはさまざまなセンサ, ポンプ, ディストリビュータを介して実行されます。
最高レベルの繰返し精度による複数回投与を実現するためにFestoはリザーバ付の特別なチャンネルブロックをディスペンスヘッド VTOE 向けに構築しました。これにより最大 2mlの液体を吸引することが可能となっています。ディスペンスヘッドはマイクロタイタープレートの下に配置されているスケールと連携して機能します。このスケールは投与プロセスのクローズドフィードバックループを可能にしています。継続的なフィードバックを実装することにより正確な投与量を達成するためにバルブの開放時間を微調整できます。
総投与量に必要な量を吸引した後、液体は 3つの注入フェーズで各ウェルに投与されます。最初の長い注入では液体の大部分が分配されます。2回目の注入はより短く、目的の量に近付きます。充填量にぴったり到達するために最後の注入は非常に短くなります。「ぴったり」とはこの方法で1% CV を超える正確さを達成できることを意味します。
このソリューションにはグラフィカルユーザインタフェース(GUI)が含まれています。これによりラボは毎回システムを最初からセットアップする必要なく、個々の要件に従ってテストを実行できるようになります。ユーザはたとえば吸引するバイアル、マイクロタイタープレートの各ウェルに分注する液体の量、特定の列で充填するウェルの数などをGUI から選択できます。液体の分注中、GUIは分注された液体の量を示すスケールのリアルタイム表示を提供します。液体の量は分注の平均質量と変動係数(CV)を計算するために使用されます。
ユーザはGUI を介して、空気だけが残るまでチャンネルブロック内の液体をすすいだり、洗浄溶液を吸引してすすぐことでチャンネルブロックを洗浄したりするなど、より多くの機能にアクセスできます。
この記事で説明するシステムは北米のFesto LifeTechの開発センターである Festo TEC BostonとドイツのFesto本社との協力の結果です。ビデオではすべてのサブモジュールの動作を体験できます。パラレルキネマティック駆動コンセプトを採用したコンパクトな 平面ガントリ EXCMにより高速で正確な動作が実現されます。
TEC Bostonのチームはすでに次のステップを計画しています:プラグ & プレイの原理を使用して組み込める圧力/真空の生成モジュールが設置時間を大幅に短縮します。