開発責任者のFrank Pahl:(AZO社:右)とプロセス産業担当セールスエンジニアThomas Stumpf(Festo)

自ら「考える」ドック

バルクマテリアルハンドリングの世界は移動、充填、配送という一見単純なものに見えます。しかし様々な材質を扱う技術が計量ステーションでのコンテナのドッキングやアンドッキングなど、細部に宿っています。ここでは交叉汚染が発生したり、粉塵が舞ったりすることがあります。AZO社のCleanDockはこれを防ぎます。最新世代のドックではさらに多くのことができます。自分で「考える」ことができるようになったのです。ドックに直接取り付けられたFestoのモジュール式電気バルブターミナルCPXの統合コントローラCECはプロセスの信頼性を高め、コミッショニング時間を短縮します。

コンテナはほぼ無音でスムーズに目的地であるClean Dockに近づいていきます。ステンレスによるエレガントな外観を持ち、 清潔で堂々とした様子で確実に移動し、 そして停止します。アクティブセクションの空気圧グリップシステムが上から下へ進み、パッシブセクションのコンテナファスナーを掴んで持ち上げます。2~3回の短いエアブローによって分注エレメントとターゲットコンテナがシームレスに結合されたことが示されます。パッシブセクションのフレキシブルな補正器はコンテナの下に配置されたスケールですでに保持している製品の量とは無関係に正確に風袋引きすることを可能にしています。次にバルクの充填が始まります。このプロセスが終了すると、アクティブセクションとパッシブセクションが同じようにエレガントかつクリーンに分離され、容器は次の充填ステーションに移動します。外からは見えませんが充填工程のほぼ全てをCleanDock本体が分散的に制御しています。

画期的なステップ

AZO GmbH+Co. KG社(Osterburken)の開発責任者であるFrank Pahlは「私たちのシステムは考えられる全ての種類のバルクを搬送・分注します。」語ります。「粉ミルクや離乳食の材料から、医薬品や洗剤、各種プラスチック、湿式塗料などの原料となる顔料まで様々な種類のものがあります。Food、Vital、Chem、Polyの4つの事業分野で実装された事例は多く、これを報告するには何日もかかると思います。」全世界で1000人以上の従業員を抱えるAZO社は70年前からバルクハンドリングの分野で技術的な足跡を残してきました。現在の先駆的なイノベーションの1つは最新世代のCleanDockです。このシステムによりAZO社は長年のパートナーかつオートメーションのエキスパートであるFestoと共同でバルクの充填における迅速なコミッショニング, エラーの削減、安全性の向上に向けた重要な一歩を踏み出しました。このために、CleanDockには分散制御という形でインテリジェンスが与えられており、プロセスでの自律性が発揮されています。プロセス制御システムが制御技術の面で全体像を把握する一方でFestoのコントローラCECとバルブターミナルMPAを内蔵したモジュール式電気バルブターミナルCPXはドッキングとアンドッキングの手順の詳細なプロセスを処理しています。

CleanDockと統合された分散型コントローラCEC、それにバルブターミナルMPAを持つ電気バルブターミナルCPX。

CleanDockの「頭脳」はモジュール式の電気バルブターミナルCPXと、統合された分散型コントローラCEC、バルブターミナルMPAで形成されています。

安全が最優先

「バルクマテリアルのハンドリングはそれ自体が芸術で多くの経験を必要とします。」Frank Pahl) 「一握りの小麦粉にはトラック1台分の砂利よりも多くの粒子が含まれています。プラスチックの処理では細かい屑が頻繁に発生することもあります。化粧品や医薬品では粉砕度が高まり、微粉末の粒子がさらに小さくなることで日々新たな課題が生じています。バルクとバルク技術は変化しています。私たちのシステムはこれらのタスクを問題なく処理しなければなりませんし、実際に処理できます。私たちはそれを誇りに思っています。」バルクマテリアル業界の2つの最大の課題はクロスコンタミネーションの防止、そして粉塵が不意に放出される問題であることに変わりはありません。一方では製品の純度、他方では従業員の保護という目標があります。近年、特に製薬・食品業界だけでなく、化学業界もこれに注目するようになっています。バルク材のハンドリングではたとえばアレルギーを引き起こす食品の粉塵が作業者の健康障害につながる可能性があります。さらに防爆が大きな役割を果たしています。原材料、中間製品, 最終製品の搬送やハンドリングには様々な容器が使用されているためバルク材システムの設計者にとっては容易ではありません。このような容器にはフレコンバック, バレル, サック, モバイルコンテナが含まれます。他の産業分野と同様に、バルク材のハンドリングにおいてもフレキシビリティが重要視されています。

周囲の空気に粉塵が舞わない

製品が目的の容器と分注エレメントの中に留まるためにはドッキング前に両方を閉じていなければなりません。」Pahlは強調します。簡単そうに聞こえますがそうではありません。よくあることですが問題は細部にあるからです。「分注エレメントのダウンパイプ内に付着した製品が結合前や結合解除後に落下して床を汚したり、周囲の空気中に粉塵を放出したりすることは絶対に避けねばなりません。」AZO社はCleanDockを使ってこの目的を達成しています。充填前、充填後も分注エレメントとコンテナは密閉されています。「市場に出回っている一部のダブルコーンシステムはキャリーオーバーの影響を確実に防ぐことができませんがCleanDockでは密閉プロセスに関わる部品のラインコンタクトによって常にこれを保証しています。」Pahl) CleanDockで使用されているこのテクノロジーをAZO社は従来のドッキングシステムと、スプリットバルブなどの医薬品分野で知られている封じ込めシステムとの間に立つ存在として位置付けています。



分散型制御でコストを削減

パッシブセクションとアクティブセクションのドッキングにはFestoの空気圧リニアアクチュエータが使用されています。アクティブセクションでターゲット容器への充填のためのコーン型シールの開閉にも使用され、またアクティブセクションとパッシブセクションのロックや締め付けにも使用されます。分注エレメントに詰まったバルク材の残渣をほぐすためには空気圧ノッカー機能が使用されます。空気圧アクチュエータはコントローラCECとバルブターミナルMPAを内蔵したモジュール式の電気バルブターミナルCPXによって制御されます。従来のCleanDockではバルブターミナルCPVはプロセス制御システムによって集中的に制御されていましたがCPX-CECによる分散制御では制御シーケンスをドック上で直接実行します。これにより特にコミッショニングの時間が短縮されました。「バルク材システムの中には80種類以上の原材料をサイロに貯蔵している場合もあります。」Frank Pahl) 「これまでに私たちが1つのシステムに設置したCleanDockの最大数は約60台です。」これだけ多くの充填ステーションがあると、これまではプログラミングやコミッショニングに比較的大きな手間がかかっていました。プロセス制御システム経由で制御されるユニットの数が増えるにつれてエラーの可能性も高まりました。「CleanDockを分散的に制御することでシステムのコミッショニングを迅速化し、エラーのリスクを低減することができます。」(Pahl) 「プロセス制御システムが与えるのはドッキングとアンドッキングのコマンドだけです。詳細なプロセスは全てCleanDock自身が行います。プログラマーはコミッショニング中に現場でこれらの詳細なプロセスを確認する必要がなくなりました。」

CleanDockの動作。ドッキングとドッキング解除のプロセスはFestoのCPX-CECを介し、自律的かつ分散的に制御されます。



モジュール式でフレキシビリティがあり、未来志向

Festoのモジュール式電気バルブターミナルCPXはコントローラCECとバルブターミナルMPAを内蔵し、分散型インテリジェンスのための統一されたインタフェースを提供し、機械やより複雑なサブシステムの完全な制御を可能にします。これは電動/空気圧システムのためのオートメーションプラットフォームとして空気圧および電気制御チェーンを様々なモーションコントローラや企業独自の規格に簡単、迅速、フレキシブルに接続します。システム全体はCODESYSを使って簡単にプログラミングできます。インタフェースが削減され、エンジニアリングとハンドリングが簡素化され、機械とシステムの信頼性が向上します。

これに加えてこれからのシステムのために世界的に重視されている重要な要素が「モジュール化」です。オートメーション機能はますます個々のモジュールに分散されています。プロセス制御レベルでは単にペースを設定するだけです。フレキシビリティを高め、ハンドリングを簡素化する鍵は統合された分散型のインテリジェンスにあります。プロセス制御システムが機能を呼び出す際に、そのために保存されているプロセスステップの詳細を把握している必要はありません。これはAZO社のバルブターミナルMPAを搭載したCPX-CECのようなインテリジェントモジュールによって実現されています。。

共にモジュール化された未来へ

AZO社がFestoと一緒にここで成功したことはNAMUR/ZVEI(ドイツ電気電子工業連盟)、システムエンジニアや運用者, 研究機関がモジュール式製造システムのオートメーションについて現在議論し、まとめている目標と一致しています。個々のモジュールを分散して完全に自動化することでシステム運用者の複雑な作業を軽減し、市場投入までの時間を短縮することができます。

また個々のモジュールを在庫として製造し、大きな労力をかけずに適応させることができます。システムは追加のモジュールで簡単に拡張できます。これによりシステムエンジニアはグローバル市場の変化する要件にさらにフレキシブルに対応できます。Festoはオートメーションのエキスパートとしてモジュール式システムのオートメーションを現在から将来にまでわたって推進および簡素化するコンセプトと標準規格の形成に積極的に関与しています。

AZO GmbH & Co. KG
Rosenberger Straße 28
74706 Osterburken
Germany

www.azo.com

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