柔軟な生産のためのモジュール式オートメーション

変動する需要, よりカスタマイズされた個別製品, より小さなバッチ - 市場の変化に伴いプロセス産業での生産要件もまた変化しています。分散型オートメーションとモジュール式システムにより、メーカーは素早く柔軟に行動できるようになっています。Festo はモジュール式オートメーションの開発と標準化を推進しています。Festoのソリューションをご使用になれば将来に向けて一歩先んじたスタートを切ることができます。キャパシティを簡単に調整し、新しいシステムのエンジニアリングをハイスピードで行うことが可能となっています。

モジュール式で真正面から効率を高めます

従来のプロセスエンジニアリングによる大規模プラントは中央制御システムを有し、定義された固定の要件に合わせて正確に設計されています。必要な生産量や製品が同じであり続ける限り、これはうまく機能します。需要が変動したり、要求されるバッチサイズの大小が個別に異なったりする場合はシステム事業者はその度にシステム全体を変更しなければならず、調整には莫大な費用と手間がかかります。またこれにはシステムの仕様を知っているスタッフが必要となります。加えて少ないスループットで運転することでシステムの効率が低下する可能性もあります。そして、メンテナンスのためにシステムの大部分を常にシャットダウンする必要が生じるのも事実です。

Festo の分散型オートメーションによるモジュール式生産は柔軟性と費用対効果を高めるための新しい可能性を提示しています。ネットワーク化された各システムモジュールは独立して作動し、それぞれが完全な制御システムを含む独自の機能ユニットです。このため生産のニーズに応じてモジュールを柔軟に接続/切断することが可能となっています。Module Type Package(MTP)の標準化されたソフトウェアインタフェースが統合プロセスを簡略化します。ひとつのモジュールに不具合がある場合はそのモジュールを交換するだけです。

わずか4ステップのモジュール式オートメーション

ステップ1:機械的および機能的モジュール化

まず、プロセスエンジニアリングにまつわるプロセスは複数のサブプロセスに分割され、各サブプロセスに対してひとつのモジュールが定義されます。これには自律運転を実現するためのすべての機械・自動化技術のコンポーネントが含まれています。

ステップ2:オートメーションのモジュール化

各モジュールには独自の分散型コントローラ, Remote-IO コンポーネント, および空気圧制御が含まれているほか、すべての機能がプログラミングされています。そしてもちろん、完全なプロセスセンサとアクチュエータも備わっています。

ステップ3:システム全体の調整

モジュールを相互接続しプロセスベースのシステムを構築すると、各モジュールは MTP 規格に準じたインタフェースを介して固有の機能性を提供します。こうして、運転モード, ステータス, プロセス測定値などを読み出したり書き込んだりすることが可能となります。システム全体のモジュール機能は合理化されたProcess Orchestration Layer(POL)を介して調整されます。MTP はモジュールのスムーズな統合を可能にしています。

ステップ4: モジュール式システムを柔軟に調整

これまでに説明したモジュールを使用すると、モジュールを柔軟に追加するだけでニーズと最新の要件を正確に満たす任意の設計でシステムを構築できます: スケールアップの代わりに、ナンバリングアップを行います。

MTP 規格の Plug and Produce

Module Type Package(MTP)はモジュールの制御とモジュール式生産のプロセス制御システムとの間の標準化されたソフトウェアインタフェースとして機能します。MTP を使用すると、新しい生産システムをよりスピーディに運用開始し、生産プロセスを簡単かつ短期間で変更できます。個々のサブプロセスも柔軟に交換することが可能です。言い換えれば複雑な変更エンジニアリングの代わりに Plug and Produce を使用することになります。

Module Type Package では制御技術関連のアセットは機能とインタフェースの観点で定義されています。これらには実際に存在するコンポーネントまたは機能するコンポーネントのインタフェース, モジュールサービスの記述または操作画面の記号といったものが含まれています。

すべての MTP 準拠のコントローラーには上位レベルのプロセス制御システムまたは Process Orchestration Layer(POL)に読み込むことができる MTP 記述ファイルがあります。これは現在、様々な種類のプリンターが PC, タブレットやスマートフォンといった各種端末と問題なく通信することを可能にしている、コンシューマー領域のプリンタードライバーに相当します。

標準化された USB 接続とMTP 記述ファイルの自動エクスポートを介して MTP 準拠の分散型制御のプログラミングを行うために、Festo はPA ツールキット をご提供しています。

Festo は未来の基準を形作ります

MTP はモジュール式システムを使用したコンバーチブル生産における、国際的な標準規格になりつつあります。Festo はさまざまな委員会への参加を通じ、このプロセスを形作る上で重要な役割を果たしています。これにより、お客様には分散型のモジュール式オートメーションの最新の開発をもれなく採用できる安心感を得ていただけます。また、今後の開発に対応可能な将来性のあるソリューションを確実に採用していくことも可能となります。

  • Festoは電気電子工業連盟(ZVEI)が取り持つモジュール式生産ワーキンググループの一員として活動しています。
  • 複数人のチームがGMA 5.16 の枠内でVDI/VDE/Namur ガイドライン2658(MTP 標準)および MTP のさまざまな側面に取り組んでいます。
  • BaSys 研究プロジェクト の一部としてFestoは MTP の管理シェルサブモデルの仕様を作成しています。
  • 委員会を基にIECレベル(IEC 規格 63280)での国際化に関する作業が行われています。